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おすすめ映画:新宿インシデント


いやいや、ひさびさに内容の濃いとても良い映画を見た。



ここオーストラリアでは少々前から放映されていたようだが、

日本では5月1日からの放映のジャッキー・チェンの新作である。

 

名前のとおり、日本の東京、新宿を舞台とした映画である。


この映画の広告を見て、映画のタイトルとジャッキー・チェン

という名前から、“いつもどおり”のカンフーコメディー系

の映画を新宿で撮影したものと想像して見に行ったら、

とてもシリアスな内容であった。 


これは外国に住む移民に、とても心に残る話である。




ストーリーは中国の北部の田舎にてトラクターの修理工

をやっていた主人公(ジャッキー・チェン)が、

東京へ出稼ぎに行った彼女が帰ってこず、連絡もないので、

親戚・親類を頼り中国からの不法入国船に乗り込み

いざ東京の新宿へ。 最初は、不法である事におびえながら、

ごみ処理のアルバイトなどを中国人仲間としていた。


ある日、偶然にも、新宿と歌舞伎町を拠点とするやくざ

の妻として黒塗りのベンツに乗り込む女性を見つけた。 


この女性こそ彼が探し求めていた女性にそっくりであった。 


その後、このままの生活ではだめだと新しい事を始める決意をした。 

その決意はよいが、内容は、中国人移民らが実際にやっている事、

偽のテレフォンカード販売、窃盗、クレジットカード詐欺、

パチンコ詐欺などを仲間とはじめた。

この仲間の中に若い男性がいて、彼はこういう悪さには

向いていないのか、純粋なのか、毎回、しんどそうに

行動しているのを見かねた周りの仲間が彼に甘栗の屋台

を購入してあげた。 


(この弱気な男性役にダニエル・ウーという俳優がやっているが、

あまり中国系の俳優を知らない俺は、

てっきり日ハムのダルビッシュ投手がスクリーンデビュー

したのと勘違いするくらいダルビッシュに似ていた。(笑)) 


彼もほっとして屋台を街中で転がしていたが、ある日、

そのパチンコ詐欺をしている店が彼らの不正に気付き、

見張ることにした。 運が悪く、その詐欺をはたらいている

仲間のトイレ休憩の代わりにパチンコ台に座っていた際

に店の連中に甘栗を売る若い彼が捕まってしまった。 


実はこのパチンコ店、台湾系のやくざ(日本のやくざと

つながっている)が運営するもので、彼は外に連れ出され、

ナイフで顔を切られたあげく、その甘栗の屋台の道具を使って

右腕を切り落とされてしまった。 


ここオーストラリアでは、平気にこんな残酷なシーン

を放映していたが、話によると、アジアの国では、

規制がかかり、このようなシーンはカットされているようである。 



そして、その仕返しにと、ジャッキー・チェンがその台湾系

のやくざの元へ行くが、偶然にもその時、その台湾系のやくざ

が提携しているはずの日本のやくざを殺そうと企んでいたシーン

と出くわした。これはこの日本のやくざの内部紛争

からくるものであるが、ジャッキー・チェンはこの日本のやくざ

を助けてあげたおかげで、彼は死なずにすんだ。 


この彼こそ、いつの日か、偶然に見かけた、探し求めていた

女性のだんなであり、お礼にと彼の自宅に招かれた際に

彼女と再会した。 


失望するジャッキー・チェンでもあったが、

きれいな大きな家に住んでいる姿を見て幸せを祝福もしてあげていた。 


そんなひょんな出来事からその日本のやくざがジャッキー・チェン

に仕事をもちかける。仕事といっても、そのやくざの内部紛争

の為に、トップ二人の暗殺の依頼であった。 

その成功の見返りに歌舞伎町の店やビジネスをまかせるという

約束であった。 


みごとその暗殺に成功し、晴れてジャッキー・チェンは

歌舞伎町の中国人のドンとなった。 

そこで、次々と勢力を強めてゆくジャッキー・チェンであったが、

それと同時に一緒に苦労したはずの仲間の間にも亀裂が入り始めた。 


まずは、右手を失った甘栗を売っていた若者は、

その事を強いストレスに感じ、人格が変貌してしまい、

結局、麻薬につかってしまい、最後はそれにより命を落としてしまう。 


そして、他の仲間にもそれぞれの不満がありそれを

ジャッキー・チェンにぶつけ始めてきた。 



その成功してゆくジャッキー・チェンと彼に歌舞伎町をまかせた

日本人やくざ(後に組長へと出世)を良く思わないほかの組員ら

は次第に彼らをじゃまに思えてきた。 



結局、それが原因となり再度の内部紛争がおこり、

ある夜、ジャッキー・チェンとその日本人やくざのいる場所へ

大勢の組員を連れて暗殺にやってきた。

通常の映画のストーリーならここでジャッキー・チェン

のみごとなカンフー技でファイトといきたいが、

今回の映画は一味、二味違う。 


ちょうどその大勢の組員が内部紛争のために到着するころ、

同じく、ジャッキー・チェンが率いる中国人グループ内でも

ケンカというより紛争がおこっていて、まさか殺すはずがない、

同じ苦労を共にしてきた仲間を殺害し始めた。 

その時、大勢の組員が押し寄せジャッキー・チェン

とそのボスの日本人やくざを殺しにかかった。 

応戦もむなしく、その日本人ボスと、ジャッキー・チェン

は殺されてしまう。 苦労を共にしたはずの中国人仲間

はほとんど殺されてしまった。 

新聞の報道では、歌舞伎町やくざの内部紛争と記されていた。 

という話である。 



もちろん、不法入国や犯罪をおかしてまでの生活

はよくないのは当たりまえだが、

“同じ移民として外国に住む者”としては、

痛いほど彼らの気持ちがわかるような映画であった。 


映画の中でそのジャッキー・チェンの彼女、後に日本にいって

やくざの奥さんになった人が語っていた言葉がとても印象に残り、

いまだに頭にある。 



「必要な物のみが手に入るうちはよかったが、


ほしいものが手に入るようになると人間は変わってゆく。」




これは、人間が生きてゆくのに最低限、必要なもの、つなわち、

食べ物、住む場所があるうちは、家族や友人とそれなりに

和気藹々と生活できたのに、ほしいもの(ぜいたく品)

が手に入るようになると、人間の性格は段々と変わっていってしまう。

という意味である。 なかなかの名言だと思う。 


もちろん、今の自分に満足していたのでは、成長はできないが、

“余計な欲”を持つと人格は変わってしまうものだ。 



この映画、正直な話、英語圏の国の人間には理解ができないと思う。 

なにより、中国人と日本人の区別がつかない人には

映画の話や内容を理解できないと思う。 


そのせいか、始まってすぐに放映回数も少なくなり、

今、チェックしたら(5月21日現在)ブリスベンでは

もう放映されていないようである。 


どうにか探して、みなさんにもぜひ見てもらいたい映画である。




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by boeing747taka | 2009-05-21 19:39 | 番外編:コクピットから見る世界