本当のオーストラリア移民問題




先日、オーストラリアの財政案が発表された。

この財政案はそれぞれの政策に対してどれだけの予算

を使うかを発表したものである。

例の1つとして、防衛にどれだけ使うかを示した

防衛費と言えばわかりやすいかもしれない。


その項目の1つに移民問題への経費を示したものがある。

現在、オーストラリアは移民問題にて大きな修羅場

を迎えていると思う。今回の政策がオーストラリアの将来

に必ずといって良いほど影響するであろう。 


現在の移民問題は大きな問題として2つあると思う。

1つはアフリカや中東などから船でやってくる

不法移民問題である。

彼らは彼らの国の生活苦からエージェントに大金

をはたいて船に乗せてもらいやってくる。

“当然”オーストラリアの海上で捕まるが、

その後、クリスマス島という離れ小島にある収容所

に何年か入れられ、最終的に“ゴーサイン”

が出た人は、はれてオーストラリアのビザを手に入れ

オーストラリア本土に送られる。

その待っている間、英語のクラスや職業トレーニング

までしてくれ、“オーストラリアへ住む準備”

をほどこしてくれる。そして、いざオーストラリア

に住んでも政府からいろいろな援助金が出て、

いたりつくせりのサービスを受けている。

これがかえってオーストラリア国民の反感

をかっているもの現実である。

「そこまで援助するのかというくらい税金を使っている」と。 

私の近所にもその制度を利用して移民してきた

家族が住んでいるが、中古車とはいえ、

車まで買い与えられている。 


最近、以前からあった暴動がまたそのクリスマス島

の収容所であった。彼らはそこでの生活レベル

が低い事やビザのプロセスが長すぎる事に不満

をたてているらしいが、いくら彼らの国での事情

があるとはいえ、“不法”でやってきた“法律に反した人”

が言えることなのであろうか・・・・

この点に関しては不満に思っている

オーストラリア人に同情する。



そして、もう1つの移民問題、今回の私のメインテーマ

であるが、永住権の発行基準についてである。


オーストラリアのビザ発行基準はアメリカやヨーロッパ

に比べて現在でも、楽な方である。

しかし、5年前に比べ大幅に変更されている。

オーストラリア人との結婚以外では、オーストラリア

の大学などを卒業して申請できる永住権が一番確実

な方法で、多くの留学生がそれを目指して学校

に通っている。この制度を設けた背景は、

オーストラリアの人口問題と労働者人口不足問題

があるからである。

時はちょうどハワード政権の頃、税収入を増やす為、

(とはっきりとは言わなかったが)人口を増やしたいが為に

「子供を産みましょう」なんて問題発言をした政治

がいたが、その“人口補足”と、著しく不足している

労働者人口を補うために移民を使う政策を発表した。

彼らの戦略として、労働者不足が深刻化している産業関連

の学部をオーストラリアの大学・専門学校(TAFE)

を卒業すると永住権が与えられる。

(いろいろと細かな条件はあるが)

それにより、移民に働いてもらい不足している労働者

と人口を増やそうとしたのである。

しかし、それが去年あたりから失敗している事に気づき

(やっと気付いたと私は言いたいが)、今年から来年にかけて

移民法を大きく変更するらしい。

“彼らの調査”によると卒業をした留学生は、

自分が卒業した分野の仕事についていないと言うのだ。

例えば、会計学を卒業したインド人留学生が

タクシードライバーをやっている。

ヘアードレッサーの学校を卒業したアジア人が

アジア系のレストランで働いているなど。 

なんとか仕事を見つけ働いているかぎり税金

を払っているだろうから、そういう意味での人口補足

の解決策には“一応”なっているのであろうが、

メインの問題である特定の産業の労働者不足

の解決にはまるでなっていない。


その理由で永住権の発行基準を変更するらしいが、

政府は本当の問題(現場の声)というのを

理解していない。

私も同様の道を歩んだので経験談として語れるが、

本当の問題は2つ、オーストラリアの教育機関

のレベルの低さと、現地の会社の受け入れ

態度・姿勢がなっていないである。


せっかく“大金を叩いて”留学し卒業しても、

自分が勉強した分野で仕事を得れる人というのは

少ないであろう。

私はオーストラリアに来る前にアメリカでも就業した

経験があるので、新卒ではないが、英語圏の国での

就労経験があったが、それでもある企業は

「君はオーストラリアでの経験がない」と言って

はねられた企業もあった。

オーストラリアから多くの人がアメリカに就業

に行っているのにもかかわらずである。

まあ、それでも私は英語で仕事するには苦労しないので、

その後、すんなり仕事を得ることはできたが、

就職活動をしている際に感じた事は、

経験がない人にはとても冷たいのと、

ビザの法律に関してまるで理解と知識がない事である。


あれでは、せっかく卒業してもまず仕事

にありつけないであろう。


そして一番の問題は、上記の問題にも関わってくるが、

オーストラリアの教育機関のレベルの低さである。

この永住権を目指し2005年前後に留学生の数

は急騰した。そのせいでクラスの98%が留学生

(そのうち80%が中国人とインド人)

なんてのもざらにあった。


大学も一部を除いては、自然と留学生を“お客様”

として扱い始めた。そうなると授業のレベルは落ちる

一方である。学校はとにかく留学生を育てる事から

卒業させてあげる事に努力をし始めた。

その結果、「オーストラリアの大学は英語

をしゃべれなくても卒業できる」とメディア

が取り立てるほど内容が薄いカリキュラムになっている。


オーストラリア人はアメリカの大学を

「俺らの高校で習う事をアメリカ人

は大学で勉強している」とバカにしていたが、

それは大きな間違いである。


高校、大学、大学院とアメリカで卒業し、

オーストラリアの大学院も通った私がはっきりと言う、

「オーストラリアの大学はアメリカの高校レベル

の授業を教えている」と。

だからオーストラリアの大学の先生は留学生

にとてもやさしい。確かに英語を母国語にしない人

にとって授業は大変である。

しかし、それを大目に見るのも最初の3ヶ月まで

よいと思う。というよりアメリカの大学はそうである。


そんな“ぬるま湯”につかっていて実力がつく訳がない。

言葉の壁、文化の壁はどれだけいやな思い

をしたかにより習得度・上達度が違うと私は思う。

あんなぬるま湯教育を受けて、まともな英語が使える

ようになる訳がない。 ましては、自分が勉強している

専門分野を習得できる訳がない。

そして、そのレベルで仕事なんか得る・できる訳

がないという結論にいきつく。


どうやらまだ移民局や政府はそれを理解していないので

はないだろうか。本当の問題は永住権の審査方法ではない。

オーストラリアの教育レベルの問題である。


きちんとした教育を受けていれば、

わざわざ高いIELTSスコア(永住権を申請するのに

必要な英語テスト。近年、その要求スコアは

上がりつつある。)を要求し、

チェックしなくても英語は使える英語が身についているし、

留学生が勉強した分野できちんと仕事を得て、

活躍できるのである。 

イコール、労働不足問題、人口問題、税収入の各問題

の解決になるのである。 

しかし、残念ながら、今回の政府の発表をみると、

移民を人口が少ない田舎町にて働かせればよいなどという

提案があるようである。

これにより、都市から留学生が減り、田舎町に中国人

やインド人が増える日がくるのであろう。

そうなると田舎の方でおきる“人種差別問題”

が勃発するであろう。そして、ついには、移民の多くは

アフリカ、中東からの不法移民になり、

オーストラリアで教育を受けた留学生の移民はいなく

なるであろう。 そうなると「移民イコール船でやってきた

不法移民」などという、これまた差別問題へと発展して

しまうのではないだろうか。


Problem after Problem. (問題の後に問題)


まるで解決になっていない解決策を作っている

ような気がしてならない。 



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by boeing747taka | 2011-05-19 15:59 | 番外編:コクピットから見る世界