食糧危機 in オーストラリア


最近、日本はもとより世界中で騒がれている問題

の1つとして食糧危機がある。 

近年の人口増加に、自然環境の変化の影響などから

食料の生産量が追いつかなくなっているのと、

どこの国でも“汚い、つらい、ださい”などと若い人

に敬遠されがちな農業に従事したがらない若者

が増えているのも1つの原因となっているであろう。 


ここオーストラリアにも同様な問題が上がっているが、

資源国であるオーストラリアには他国とは違った

食糧危機問題が上がっている。



現在、私が勤務している会社はブリスベンから北に車

で約4時間ほどいったバンダバーグという街にて農場

を経営している。私はその農場の財務管理や農業運営

データの管理をここブリスベン本社にてやっている

のだが、度々その“オーストラリア版食糧危機”

の話を耳にする。 

それは、作物が採れないとか、若い従業員がいない

とかではない。収穫は毎年のように好調である。


その問題とは、なんと“オイルマネーがオーストラリア

の農場に参入してきている”である。 

この不景気とは裏腹にオイルマネーはいまだに衰え

を知らない。以前はオイルマネーといえば海外金融市場

への投資関係であったが最近の食糧危機に目をつけた

彼らは農業関連への投資に興味を持ち始めたのである。 


しかし、ここで注目してほしいのは、彼らが投資すると

言って農場を購入している訳ではない事である。 

ここが今回のオーストラリアの食糧危機

を募らせている原因なのだ。



オーストラリアの農業には日本のように農協

というのはない。だから農家がそれぞれに自分の会社

を運営しているのと同じように農場を運営しなければ

ならない。 もちろん、農家への税金優遇や政府

の特別優遇などはあるが、日本の農協に比べたら

厳しい現状にある。 農業の流通機関がそれぞれ会社

となっていると説明すればわかりやすいであろうか。


仕組みはこうである。 

まず農家が穀物を農場にてつくる。

そしてその出来上がった穀物を契約している梱包会社

に送るのである。この梱包会社が日本でいう農協の役割

を持っている。彼らが穀物を箱につめ、

そして大手ではウールワースやコールズなどのスーパー、

場合によっては海外に出荷する。 

彼らが買い手を探し、買い手の需要と農家の生産量

により株式市場のように穀物の値段が決まる。 

そして、その買い手との売買が成立した後に各経費・手数料

などを引いた儲け額が農家に支払われるというシステムである。 


簡単に流れを書くと:


<出荷>

1. 農家が穀物を栽培。

2. シーズンになると農家が梱包会社へ穀物を郵送。
(場合によっては彼らが回収)

3. 梱包会社が出荷用の箱に梱包する。

4. 買い手先のバイヤーの需要と生産量の供給により
穀物の値段が決まる。

5. 梱包会社と買い手の取引が成立すると、
梱包会社から穀物が出荷される。


<入金>

1. 買い手先から梱包会社へ入金。

2. 梱包会社が梱包代、箱代、郵送代、手数料など
を計算しその額から差し引いた金額が農家の儲け額。

3. 各農家へ出荷量に応じて支払い。



私の会計士としての仕事の1つとしてこの農家の出荷量

と梱包先のデータ上にある出荷量、経費の計算

があっているかの確認、支払い額の確認などである。 


あたり前だが、相手が出してくる数字をまるごと

信用していては話にならない。 

そして、この梱包の会社もいくつもあるので、

今使っている会社は、手数料の額やその会社の

マーケティング力などを見て、あちこち試してみて

決めたものである。 


ここまで話すと「なぜ、梱包会社に販売をまかせるの? 

自分たちで売ればいいじゃない」と言う人

もいるであろう。 

しかし、オーストラリアの農場のサイズを考えて

もらいたい。穀物の量だってトラック何十台分

の話である。それを箱に詰める作業をするには、

それの為の場所と人が必要になる。

そうなるともう1つの会社を運営するのと

同じになり、少なくとも数億円単位の投資

が必要になる。 そして何より農家はビジネスマンでない。 

梱包しても買い手先探しと交渉まではできる

能力と暇がない。 


そういう理由と日本のような農協がない事から

このオーストラリア農業の“ミドルマン・ビジネス”

が存在し、お互いがお互いを必要としるしステム

が出来上がったのである。 

そしてオーストラリアの食糧危機がこのミドルマンにあるのだ。 



アラビア人は考えたものである。

日本と同様、自国では食糧なんてほとんど獲れない

アラビア諸国は、ほとんどを輸入に頼っている。

食糧危機が騒がれ始めると彼らは、将来をみすえ

自国の食糧確保の為にオイルマネーを海外の農業

に向けた。普通なら海外の農場を買収する事

を考えるであろうが、彼らはそれをせず、

なんと上記の“ミドルマン”つなわち

オーストラリア農業ビジネスにいる梱包会社

を買収し始めたのだ。 

そうする事によりオーストラリア国内の農業流通

システムをコントロールできるようになる。 

その気になれば大部分の穀物の郵送をアラビア諸国

に向ける事だってできてしまうのである。 

農家を買収したって送るのに梱包が必要となる。

しかも大規模の。

それに農家と梱包会社は持ちつ持たれつの関係である。

農家は、誰かが穀物を買ってくれなければ生計

をたてられない。だから感情的にもアラビア人

による梱包会社の買収に反対していても何もできない

のである。というより新しいビジネスパートナー

として受け入れなければならないのである。 

今のところ、特定の穀物の梱包会社の全てがオイルマネー

により買収されたとか、郵送先がアラビア諸国に流れている

という話は聞かない。 

とある会社が買収されただの、されそうという程度の話

ではあるが、あと3年もすれば、多くの梱包会社

はオイルマネーで染まるであろう。 

そして、遅かれ早かれ中国資本も入ってくるのではないだろうか。 


日本では食糧危機が騒がれ野菜の値段が高騰していて

それを目の当たりにしているのに、海外市場に対しての、

全くの対策がなされていないのが残念である。


今の日本にはアラビア諸国のような先見の目、

国際市場の目を持った人間が少ないのであろうか・・・・ 

穀物だけではなく、魚類だって同様の問題があるだけに、

日本の食生活の将来がとても心配である。


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by boeing747taka | 2010-09-09 21:12 | ありえねぇオージーニュース