アメリカの車会社は回復できるのか?



先日、アメリカ政府はこの100年に1度

と言われている不景気の影響を大きく受けている

アメリカ車会社などへの救済政策を発表した。 


この発表は多かれ少なかれ市場には好影響であったようである。 

為替市場は、それまでの、金融不安からの米ドル売り・円買いから、

米ドル買い・円売り気配へと変わった。 ダウ・ジョーンズ

や日経平均なども回復の兆しが見始めたかのような

動きもちらほらあり、今年の暮れから来年に向けて景気回復

への期待ができそうな気配である。 


しかし、ここで疑問なのは、アメリカ政府の多額の税金

を利用してアメリカ車会社を救済しようとして、

はたして会社自体は回復できるのであろうか。 


アメリカ車会社の業績不振は何も今回の金融危機から

始まったものでなく、歴史を見返せば、日本車がアメリカ市場

で活躍し始めた80年代から始まっているような気がする。 


当時(と言うより今もある意味そうであろうが)、

アメリカ車はとにかくサイズが大きくしかも燃費ととい

言葉を全く気にしないかのようなガソリンを食う車であった。 

そこへ、性能と燃費が良くサイズも実用的な大きさの車

の日本車がアメリカ市場を賑わせた。 

私はアメリカ車会社の失敗はここで

始まっているような気がする。 


もちろん、このまま何もせずアメリカ車会社が倒産してしまえば、

アメリカ経済はおろか世界経済へも大きな影響があるので、

ほっておくと言う事はできないであろうが、“会社の救済”

という目的として、この救済案ははたして意味があるもの

であろうか大きな疑問である。 

アメリカ車会社は失敗から何も学んでいないような気がする。 



80年代、日本車の快進撃を受けたアメリカ車会社は、

日本車のような性能の車、“売れる車”を開発しライバル会社

に対抗するという、“企業競争社会ではあたりまえのこと”

をする代わりにクライスラー、GM、フォードのトップ

はアメリカ政府に泣きついた。 当時のレーガン政権

は貿易の規制を設定し、政治家は自分の選挙キャンペーン

に日本企業へのバッシングを始め、アメリカ国内で日本車

が売れないようにするように“助け”を求めた。 


その後も90年代にアメリカ政府に日本車に輸入税をかけ

日本車の国内価格をあげるように促した。 

が、日本の車会社は日本の車を現地で生産し、

輸入車扱いにならないという賢明な戦略をとった。 


そして、ついに1994年、アメリカ車が日本を始めとする

世界で売れない理由がわかったのか、世界市場向け(特に日本)

に開発されたネオンというアメリカ車にしては小さめの

4ドアセダンの車がクライスラーグループから発売された。 


この車のマーケティング戦略もおもしろくかわいい親しみ

のある車のフロントマスクと共に“Hi”という掛け声の陽気

な広告で営業を展開していた。 

しかし、この車、“ただ単にサイズを小さくしただけ”

の車で、ただ単にサイズが日本車と同じになったという

理由だけで、日本人が買い始めるはずがない。 

結果は予想通りの結果となり、営業成績は散々たるものであった。 

しかし、手頃な値段であったせいもあり、

日本車サイズの車志向になっているアメリカ市場には

受け入れられて、アメリカ国内ではそれなりの営業成績

を残すことができたようである。 

アメリカの車会社からまともな飛躍が見られたのは

それだけではないだろうか。 

日本企業との提携もあり、燃費や性能が上がってきた

アメリカ車ではあったが、毎年オートショーで発表する

コンセプトカーや新車のアイディアは、

従来のアメリカン・マッスルカータイプのものばかりである。 


確かにコルベットやマスタングのマッスルカーはアメリカ

の象徴であり、アクセルを踏むだけ力強く走りまくる

あの走りにあこがれる人は多いのは理解できる。 

しかし、毎年オートショーにでてくるアメリカン・マッスルカー

は時代を逆方向に爆走するものばかりである。 

この不景気でガソリンの値段が上がっているのに、

燃費の事をまるで気にしていないような販売戦略である。 


現在、トヨタとホンダがこの不景気な市場にぴったりな

ハイブリット・カーの開発、販売にしのぎをけずっている。 

燃費はもとより値段だって市場を騒がせるのには

十分なものである。 おかげで、売れ行きはこの不景気

な時代でもとてもよい営業成績である。 


しかし、“失敗経験”があるはずのアメリカ車会社、

ハイブリットの開発やマーケティング戦略を考えてはいる

のであろうが、トヨタやホンダのような努力をアメリカ車会社

から全く見られないような気がしてならない。

(もちろん提携している日本の会社から技術提供を受けて

ある程度の事はしているのであろうが。) 


アメリカ車会社のマーケティング戦略からは、

“市場が必要なものを提供する”という姿勢がまるで

見られないような気がする。 


今回のアメリカ政府の、車会社への救済策

はアメリカ経済や世界経済を救うという意味なら

価値のある政策ではあるだろうが、

車会社を救うという事がメインならば、結局、


“歴史が繰り返されるだけ”になるのではないだろうか。 



この救済策、巨額な税金を使ってはいるが、

短期的な効力しかないような気がしてならない。




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by boeing747taka | 2009-06-14 21:19 | 番外編:コクピットから見る世界